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OFFICE

2020.06.12

写真家による写真の提出までのフローワーク Part1

写真家の仕事とは、いったいどういう作業をしているのか?他の人の職業の具体的内容が分からないのはどの業種も同じであると思いますが、ここで私の商業写真を依頼されてから完成して提出するまでのフローワークを記してみる。私は建築がメインなので今回は建築です。

・撮影前
どんな用途の建物か?どんな雰囲気の写真を必要としているのか?写真は誰がするのか(著作権の関係で使用者によって金額がかわったりします)?どのくらいの大きさの建物か?改修であればどこの範囲か?外観は必要か?時間帯は?

これらによって機材も変わってきます、人が必要になってくる場合もあります。

・撮影
モノの片付け。これ、非常に重要なところです。基本、写真家は触りません、お客さんにやってもらいます。が、画角を見ていてあったほうが良いもの、ないほうが良いものは提案したり、クライアントに聞いたりして相談しながらやります。まったく片付いてない物件などはそれだけで撮影時間が伸びます、ギャランティーも多く必要になる可能性があります。

私の場合(建築写真家はほぼそうだと思いますが)は三脚にカメラを設置して撮影します。写真で一番大事だと思っていることは構図です。今はデジタルですので明るさや色合いは割と後(ポストプロダクション)で柔軟に対応できます。が、構図はどうしようもないです。ないものは修正できないし、最悪、絵を書くしかありません。正対が好きな建築家さんや、斜めから狙ったほうが良い空間もあります。色々、相談しながら、しかし「とりあえず沢山のパターン」を撮影しておくことが多いです。クライアントのイメージが固まってなく、こちらの提案にも決定できず、「すべてのパターン」撮っておく、要求をするクライアントは少し困ります。が、撮影時間の制限もありますので良く話し合います。

・撮影-色について
先程、明るさや色はどうにでもなると書きましたが、色に関しては実は非常にシビアである部分もあります。RAWで撮影しておくのはもちろんです。私の場合、デジタルではRAW以外では撮らないのですが、メディアの容量の関係や提出する媒体の関係(メディアを交換する時間がない、タイミングがない、高画質を必要としない、照明が一定)で容量が少なくて済むJPEGで撮影することもあります。次の撮影の時、JPEGの設定のまま色のシビアな建築写真(特に内装で照明を駆使している空間など)を撮影すると、撮影時には気づかず、現像しようとしたときに、色情報がデータに全く残っておらず、思ったとおりの色合いにならないことがあります。私はこれで1度失敗した経験があります。

その他、色合いに関してはおそらく中版デジタルのほうが色情報が豊富なはずですから、中版デジタルでしか撮影できない写真ってものもあります。この辺りの選択もしなければなりません。

・撮影-構図について
構図に関してですが、非常に狭い物件の場合、写真をステッチして縦長や横長にして空間を広く見せる工夫をすることもあります。横構図の写真を3枚横に連結させてシネマスコープのアスペクト比にする。横構図の写真を縦に3枚連結させて4:5のアスペクト比にする。などです。ここでアスペクト比についてなんですが、シネマスコープ(1:2.35※非常に横長です)や4:5(4×5インチのフィルムが存在した為、この比率を使うことがあります)を私は選択していますが、デジタルの今、アスペクト比に正解はありません。1:1の正方形でも良いですし、少し余分な部分をなくしたいからアスペクト比を削ったりしても良いと思ってます(もちろん、アス比の指定があった場合はその限りではありません)。レンズのイメージサークルっていうのはまん丸の円で、その中からフィルムやデジタルや大判や中版はイメージ(光)をフィルムや映像素子に記録していきます。この時点で写真ってトリミングされていることが分かりますよね。35mmフィルムの時代やブローニーフィルムの6×6、6×4.5、6×7、6×8、6×9、6×12、大判以上の4×5、8×10など、アスペクト比って沢山あります。もちろん昔は撮影したフィルムをプリントしていましたから、キャビネサイズのアスペクト比、Lサイズのアスペクト比、6切り、4切ワイド、本当にたくさん比率がありますね。なので自分で良いと思ったものを選択すれば良いと思っています。もちろん、写真が一番美しくみえる比率を選ぶ必要がありますし、用途によって比率を考える必要もあります。

イメージサークルと比率に関しては建築写真をはじめて、大判を使って、あおりを使って、良く考えるようになりました。イメージサークルの中でどの部分を使うか(どの構図を私が選択するか)?これはイメージのどの部分を切り取る(トリミングする)かと同じなんです。

・考えていること
これらの事、まったく考えず撮影する人もいると思いますし、効率を重視して撮影している人もいると思います。しかしどっちが良いというのは無いと思います。でも私の場合は常にそんな事考えています。トレンドを捉えるってかっこいい言葉もありますけど、常に考えていると葛藤や発見もあって面白いです。世間の流行も分かります(色使いや構図、発表媒体など)。私はクラシックに暗室で焼いて、ギャラリーで展示するスタイルが一番ほっとしますので、流行を知ろう努力しつつ、乗るか乗らないかは自由にしています。

・次回以降に続きます(現像・編集について)
少し長くなってしまいましたので今回はここで終わります。次回以降に撮影後のはなしについて書くことが出来ればと思います。次回書けたら以下について書きたいです:ホワイトバランスについて、グレーカード、カラーチャート、LEDの照明の癖、正しくWBを補正しすぎる事について、ライトルームとキャプチャーワン、色空間、解像度、フォトショップと他のソフト、提出の方法、記録媒体、正しい夕景の空の色は?、正しい照明の色はあるのか?、照明を撮影する。など


作家としての活動や作品創りの場合はまったく異なったワークフローになると思います。依頼された場合はクライアントの意図を読み取ることが大事ですし、作品を作る場合は何のために、どいうったものを、どのようにして、撮影するか、楽しみながら哲学的に考えるのが面白いのかなと思います。商業写真ではギャランティーを得て、比較的受動的な作業が多いですが、撮影する行為は変わらず、クライアントや関係者がどんなことを考えているのか知る良いキッカケになります。それを生かしても良いし、まったく関係なく切り離して考えても良い。なんにせよ、人と関わると自分自身に影響してくるところが面白いところでもあります。

ノートで走り書きにつき、乱文で失礼いたします。